美貌録

とにかく、思うことを何も気にせず、淡々と、書いてみる。

国家の品格

国家の品格
国家の品格藤原 正彦

新潮社 2005-11
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おすすめ平均 star
starいい本だと思います
star危険な思想
starいい刺激を受けました

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いやぁ、久しぶりに面白い本でした。
ものすごく理論的に、情緒を解くというその時点で矛盾せいを感じながら、それを感じさせないような論理的な文体にほれぼれとしてしまった。

えーと、いくつかポイントがあって。

まず、この本は、非常に正しい。ただしい、というのは、本の内容とか思想ではなくて、論理体系が正しい。仮説に基づいてなりたっている。だから正しい。
ということで、仮説があっているかどうか、というのはない。ただし非常に好感が持てるのは「ボクは正しい。他の人すべてが反対したとしてもボクの論理は正しい」と言い切っている時点でその仮説はあっているといえよう。だから、この本は正しい。

次に、この本は、昭和18年生まれの人が書いた、ということに着目したい。
なぜならば、この昭和18年生まれ辺りは太陽族に憧れ、合ハイだの、なんだので「自由」という幻想を追いかけ、そして高度成長期を向かえ「ニューファミリー」とかって言われて(正確には団塊世代だけど)もてはやされて、アメリカ万歳とかって言っちゃって、子どもを育てて、子どもが情緒がなくなって大きくなってその子どもを生み始めた頃なんだから。

っていうか、正しい事を言う前に、あなたたちが反省をすべきなのでは。としばし思う。

これを読んで万歳三唱しているおじさんたちに、私たち団塊Jr.の教育の、責任を取っていただきたい。

私たちは「言いたい事をはっきり言えるように」と育てられてきた。
アメリカ的な物言いを良しとされ、アメリカが世界で一番えらいと言われてきた。
うちの父親がそうだった。

私は、高校時代にはじめてアメリカに行ったが、根が日本人なのと我が家のルーツをきちんと認識しているのでアメリカ人には染まらなかった。アメリカの食が貧しいのもいただけないと思った。色々なものがトレードオフなんだと思った。でもアメリカに少し憧れたのかもしれない。

日本史を専攻したいと父に告げたとき、父はグローバルな人間になるならば世界史を専攻せよ、と言い放った。私は「日本の歴史がわからずに何がグローバルだ」とアメリカ的に言い返し、そして仲違いがはじまった。「お前のことは理解できない。」
父も昭和18年生まれである。

私は西洋的思考をする、と人に言われる。
しかし、和歌を愛し、万葉集を愛し、司馬遼太郎を愛し、新撰組は愛していないし、楠木正成吉田松陰を愛しているただの中年に近い少女である。フロムの自由からの逃走に大学1年で出会い、「自由とは怖いものである。自由を欲しがる人は本当の自由を知らない」と言う事を自らの高校中退の話とかみ合わせ、よく認識することができたが、イマドキの団塊世代は「早く自由になりたいなー」とドラえもんのようなことを言っている。

教育は、先人が作るものである。

と言う面ではこの本は非常に面白く読むことができた。
人間がはらんでいる矛盾を、我々は認識しながら今日も生きていかなくてはいけないという事を良く理解することができるからだ。

といいつつも、私も今のナリキン的なビジネスのやり方は見ていて気持ち悪いし、それをよしとする子どもたちがたくさんいるのはいかがなものかと思うわけで。元寇で名乗りを上げちゃう正々堂々さもいかがかと思うが、私は武士でありたいなっと。


でもさ、良く考えよ。
老人は・・・という件も合ったが、姥捨て山や座敷牢については触れられていなかったね。
老人は昔は自ら諦めるものだったのに、今では「おれは現役を退きませーん」って、やっぱりオトナがこの本を読み、自ら反省するべきだと思うのだけど。

ということで、この先、この国はどうなるんだろう?
確かに、和的なものを作り上げていくのはとてもいいけどね。でも、食べられちゃうんだけどね。どうしようね。
→人のいい商売、というよりも、プライドのある、世の中のためになるものをしたい←しかし、世間がそういう「弱い」人を見ると食って掛かる。←生き残れない。

企業は存続のためにあるとドラッガーが言っていたけど、私もそれは賛成なんだな。
存続のためにある。キャピタルゲインを儲けるためではない。企業になった瞬間に、誰かのために企業が存続する。株主じゃなくて、お客様の、大切な人の笑顔を見るための。

子どもに「パパってお金持ちだね」と言われるより「パパって素敵だね」と言われるほうがいいと思うが、今の子どもはお金でしか親をはかれないのかもしれない。そうなるのかもしれない。
金を見せれば女が寄ってくると豪語する人は多分、少なくない。
いずれ、こどもにも「うちのパパ、お金持っていないから人間として魅力ないんだよね、はん」なーんていわれちゃのだろうか。あーやだやだ。

ということで、そういう意味での「血族」は重要である。血を意識することで、お天道様に顔向けできない仕事はしたくないと思えるようになるから。私もそう思っているから。

結婚相手、難しいなぁ。