美貌録

とにかく、思うことを何も気にせず、淡々と、書いてみる。

義経

義経〈上〉
義経〈上〉司馬 遼太郎

文藝春秋 2004-02
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おすすめ平均 star
star生身の人間としての義経
star「脳内映画」を描写する司馬流小説法
star伝奇と実証の狭間の迷いが見受けられる

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ああ、やはり私には此方の方が合うみたいだ。
史実だからこそやりきれない思いが伝わってくる。

義経の幼児性とコミュニケーション不足といえば簡単だが、なぜ彼はそう思うのか、について深く切り込んだ名作。
軍神であればこそ、守らなければならぬ謙虚を義経は気付く事が出来なかった。
本作ではそれを幼少の頃の愛情不足としているが、もし頼朝が軍神になる弟に嫉妬心を抱かなかったら?
なぜ義経は京では英雄になった?
義経で有名な「判官びいき」については触れていないのがまた好ましい。
与一の話もさらりとで、義経と頼朝の感情の違いだけがクローズアップされている、その人間のやりづらさが描かれているのがとても哀しく、そして、興味深い。

なぜ愚かなるを繰り返すのだろう?

人は幸せになるために生まれるのではない。
人は、一瞬の幸せを感じ、そして幸せのために愚かになれる事が幸せなのかもしれない。


最近、幸せと言う言葉について考える。その幸せを深く考えさせてくれるための名著でも有る。嗚呼。

今夜も酒を飲む。幸せとはなんだろう?